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« 新潟は雪 | 12月6日(土)トーク&ワークショップ »

2008年11月21日

ゲストインタビュー:宮元三恵さん

このフォーラムでは、ワークショップにおける大人のありようを考えたい、というテーマをきっかけに2006年から活動してきました。
注目したいゲストをお招きし、ワークショップを体験したり、対話の中で一緒に考えながら、その場に集まった人たちで学び合い、自分の活動をふりかえる機会になれば、と考えています。12月6日のトーク&ワークショップにおいでいただく宮元さんのお話を少しだけ伺ってきました。


◉活動テーマは「子どもの感覚で作る空間」

——宮元さんは、今大学ではどんなお仕事をされているのですか?

将来計画室という一人のセクションで、美術学部をこれからどうしていくか?という企画など、広報的な役割を担いつつ、自分のテーマで活動しています。

——以前、川俣正さんのもとで仕事をされていたことがありますね?

横浜トリエンナーレ2005ではディレクターチームでアシスタントをつとめる中、プロジェクトのさまざまなプロセスを学びました。これまでの1つ1つの活動が次につながっていきました。

——ご自身の活動のテーマは?

子どもが大人の目線でデザインされたものを使うのではなく、子どもの感覚で作る空間に関心を持っています。子どもが使いやすいマテリアルはどういうもの?子どもはどういうところに興味を持つのだろう?ということをいつも考えています。

雨が降るから木の下に雨宿りする。それが最初の建築だと思います。
隠れ家、動物の巣も建築的なプロセスだと思っています。

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——今も一緒に拾ってきましたけど、芸大の門のそばの無患子(むくろじ)の実を集めているとか?

きれいでしょう?透けて見える黒い実は、羽子板の羽根の芯になるそうです。これほど立派な木はあまり残っていないそうです。いつか子どもたちと何かして遊ぼうと思って集めてるんですが、お掃除のおじさんがわざわざ持って来てくれたりするんですよ。

 

◉代表的なプロジェクトのこと

——ドイツやロンドンで行なってきた、『NEST』というプログラムがありますね。

つい先日、妙高の森の中で小学生たちとも行ないました。ひもを結んで自分たちの巣を作るというものです。単純な作業なんですが、ひもは絡むので、一緒に居る人とのコミュニケーションが必要になります。
巣は、建築になる前の最低限のもの。素材や作り方は専門家が教えることができますが、作っていくのはそれを使う人自身です。データ化できないものもいろいろありますが、リサーチに近いフィールドワークです。

『NEST』では、「場所をさがすということ」、「みんなが入れるものを作ること」を参加者のテーマにしています。私自身のテーマは、手法を限りなくシンプルにして、フィールドや年齢を問わず、誰もが関われる方法を探りたいということです。

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——海外での制作活動から、日本での活動との違いを感じることはありますか?

国民性や環境はもちろん違いますが、場所や季節の違いはさほど感じていません。
ロンドンでは、90数の国やエリアからさまざまな人種が集まる地域に住む子どもたちと半年に渡って過ごしたことがありますが、そういう環境の中にいる子どもはドライです。「私とあなたは違う」という前提で話をしている。違うから、じゃあテーブルにのせて共有していこう、というスタンスでかかわりますから、小さなパーツをならべてものを作っていきます。
日本では、プログラムの中でどう子どもたちの枠をはずしてあげるか?ということを意識しています。親子も枠のひとつでしょうね。
これらの違いを経験したことは、自分の活動に影響していると思います。


◉自分の中の子ども〜子どもとの関わり方

——これまで、国内で宮元さんと幼稚園児たちとのワークショップに何度かご一緒しました。かかわる子どもの年齢について、意識していることがありますか?

既成概念を外してイメージすることで、自分の感覚に敏感になれるようなワークショップを作ろうとしていますが、小学生は、初等教育という学習環境の中にあって、新たな提案は難しいと感じることもあります。幼児がつくる感覚的な空間に興味があります。いろいろな経験を持つ大人と比べると、幼児は感覚や知覚をフルに使って生きているし、一人遊びをすることが多いですよね。

——子どもが時計を読めるようになる前の感覚を大事にしたいと思って、我が子には時計の読み方を教えませんでした。お腹がすいたからごはんの時間かな?日が暮れて来たからもうすぐ夜かな?を感じてほしかった。人との間のルールや社会化にとっては大事ですが、文字盤を早く読めるようになることは、幼児にとって必然ではないと思っていました。

わかるような気がします。幼児の頃のことって戻ってくると思うんです。私が今やっていることは、その頃やって来た事とつながっていますよ。

——どんな子ども時代だったんですか?

いろんなものを拾って来ては何か作っていて、とにかく毎日が忙しかった。
小学校の帰り道で拾って来た田んぼの落ち穂を一升瓶の中に入れて、見よう見まねで一冬かけて脱穀したり、土を集めて壁土を作ったり。

——親御さんは何か言っていました?

拾って来たものも、家の中に持って入らない限りは怒られなかった。庭でしゃがんで何かしていると、母はござを持って来てくれたりしました。
やりたくないことはやらなかったですけど、こうしなさい、とか、あれをしてはダメ、と言われたことはありません。

——学校の勉強についてはどうでした?

勉強はきらいじゃなかったんですよ。物理の公式を覚えることは苦手でしたけど、教科書は本を読むのと同じ感じで楽しんでいました。家族と一緒に居るのが好きで、高校生まで居間で勉強していました。誰かがいるそばで自分の好きなことをしている感じが好きですね。

——宮元さんが子どもたちとかかわるようすを見ていて、とても自然な感じがしました。大きな声を張り上げることもなく接していて、いつの間にか子どもが宮元さんに体をくっつけている。子どもとかかわるときに気にかけていることってあるんですか?

友達になる、みたいな感じでしょうか。
うまく伝わるかどうかわからないですが、子どもに悪いことをやらせたい。汚すとたいてい大人に怒られるでしょう?子どもだけでやると怒られるようなことでも、私が仲間に入ることでやれることがある。
悪いことをするときの子どもの顔って面白いんです。本気になっているから。
知恵を働かせているんでしょうね。いい子になっているとこうはいかない。

子どもに教えようとはしていませんし、自分のやっていることを教育とは思っていません。そそのかすことを考えているかなぁ。たねあかしもしません。自分も最後はどうなるか考えないんです。あ、これはかっこよすぎ。結末を考えないでいられたらいいな、ということを意識しています。

先日、光に透ける素材を使って、子どもたちと「色で迷路をつくる」というワークショップを行ないました。感覚を呼び覚ますプロセスがとても瞑想的だと思いました。
保護者の方から、後日、この経験を経て子どもが絵を描くことが好きになった、というメッセージが届いて、とてもうれしかったです。

表現された最後の部分だけで評価されることが多いですが、きれいなものを作ることやきれいな絵を描くが目的ではありません。
マテリアルやプロセスを選んでいく自発的な行為の中に発見がある。クリエイティブは発見の中にあると思うんです。

今、40代に向けて実現させたいものが見えて来た感じがしています。だんだん持ち物が多くなって来ているので、1回きりではなく、子どもたちともっと長いスパンで関わって行きたいなあと感じ始めているんです。
巣から建築へ。子どもによる子どものための空間づくりを実現したい、と描きはじめているところです。
(2008年11月14日/東京芸術大学にて)

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投稿者 森川千鶴 : 2008年11月21日 10:03

 
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